水琴窟



  しゅんにあるのは美味しい料理と酒だけではありません。静かな時の流れを感じさせるものがあります。水琴窟を知っていますか。「すいきんくつ」と読みます。お店から離れの宴会場に向かう通路、引き戸を開けて一歩進み、目を下にやると、そこにたたずんでいるのが水琴窟です。といっても写真で見えるのは手水鉢で、この地下に瓶がふせて埋めてあるのです。
  心を静かにして耳を澄ませます。地中からかすかに聞こえてくる不思議な音。水のしずくが落ちてポポン、ポン、ポポンと鳴ります。琴の音にも似たところから水琴窟と呼ばれます。
  江戸時代から明治時代にかけて日本庭園で盛んに造られた、造園技術の最高傑作の一つでしょう。いまでは滅多にお目に掛からないものになってしまいました。
  夏のひととき、暑さを忘れさせてくれる涼味あふれた日本独特の侘びの音です。

  毎日あわただしく過ごしている方々、たまには喧噪を忘れて、水の醸しだす不思議な音に触れてみるのもいいかもしれませんよ。